
タイコプレス インタビュー第一回目の記事は太鼓奏者の坂本雅幸さんです。今和太鼓界で一番注目されている方と言っても過言ではないと思います。正直緊張しております。坂本さん!よろしくお願いします。

太鼓奏者の坂本雅幸です。よろしくお願いいたします。

https://www.masayukisakamoto.com/

(アー写の躍動感がすごい・・・)
昨年2018年に独立してから、坂本さんは現在はどのような活動をされているのでしょうか?

基本的には海外での活動が中心で、ブラジルやイタリア、ベルギーなどで公演をしました。そして今年、東京・京都・三重での公演「synchro」を予定しています。

お!独立後の国内デビュー公演となるわけですよね!?坂本雅幸×堀つばさ 和太鼓デュオコンサート「synchro」については後でじっくりとお話伺いたいと思います!
日本と海外の違い

どうして海外での活動をメインとされていたのでしょうか?やりやすさを考えるなら日本かと思ってましたが、やっぱり制作環境は日本と違いますか?

言葉の壁はあるのですが、国や地域からの芸術に対する補助がしっかりしているので日本より活動しやすい印象はありますね。アートがとても身近だから意識も高いし、とにかく創作意欲が凄い。
あとは、お客さんを含め海外のアーティストってしっかりと意見を言ってくれるんですよね。日本人だと「良かったです」で終わってしまう事が多いけど、ガンガン言われるので最初はビックリしますが刺激的でもあります。「意見であって批判ではないよ」という事を言ってもらいましたね。
ソロとチームについて

チームで活動されるのと、ソロで活動するのは全然違うと思うのですが、今後の活動の展望でしたり、やってみたいことはありますか?

鼓童から独立して制限も無くなったのでとにかく自由になりたいという願望が強いです。15年ほど在籍していたのでなかなか型のようなものから抜け出せませんが、なりふり構わず舞台に出て、ひたすら叩きまくって、汗だくのまま去るみたいな。そしてそのまま全国ツアーに(笑)!
電子太鼓も面白くなってきていますよ。とにかく開発者の皆さんの熱意が面白くてどんどん進化しています。
影響を受けたミュージシャンは?

チームに所属しているとチームのカラーで演奏しないといけない部分もありますからね。影響を受けたミュージシャンやアーティストはいますか?

THE BLUE HEARTSやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYなどです。ドラマーだとSteve Gaddさんや村上”ポンタ”秀一さんなどです。

うわーめちゃめちゃロックなんですね。僕も大好きです!

あとはフラメンコギターの故パコ・デ・ルシアさんやバグパイプ奏者のカロエス ヌニェスさんなどです。和太鼓と同じくマイノリティな楽器の奏者ですが世界的に著名であり多くの影響を与えています。憧れですし、自分もそうなりたいなと思います。

ロックでしたり、海外のマイノリティなミュージシャンに影響を受けたというのは意外でした。
坂本さんって好きな太鼓奏者はいるんですか?太鼓打ちが好きな太鼓打ちにすごい興味があります。インタビュー等でも聞いたことないですし。

そこ聞く(笑)? 答えにくいわ!!!
同業者だし、皆先輩だからなぁ、、、
普段絶対に答えないけど、まあ記念すべき第一回目のインタビューだしね。
鼓童に憧れて入ったので、当時舞台でセンターをつとめていた金子竜太郎さんにはあこがれましたよ。研修生の時に通し稽古を見ていて、もう音の抜けが良すぎてアンサンブルの中でもリズムが立体的にハッキリと聞こえてきたのが衝撃でした。林英哲さんの演奏や活動は、自身もソロになって改めて素晴らしいなと思いますし、レナード衛藤さんと共演させて頂いた際には音色の幅やグルーブに圧倒されて、新人だった私はコテンパンにされました。
あと最近気になっているのはヨーロッパの太鼓奏者です。熱量もありますし、日本と違う文化から醸された和太鼓はオリジナリティに溢れていてクリエイティブです。

言いにくい質問にお答えいただきありがとうございます!
海外の太鼓奏者・・・!? アメリカ人の方が握る寿司みたいな感じですかね。僕カリフォルニアロールとかめちゃめちゃ好きですもん。”SUSHI”として一つの文化になっていると思います。
最近、学校で和太鼓部も数多く立ち上がっていますが、和太鼓をやっている中高生に向けたアドバイス何かいただけませんでしょうか?
和太鼓をやっている学生のみなさんに向けて一言

自分がカッコいいと思えるものを見つけるのがいいかな、そして表面的なことだけ真似するのではなくて、徹底的に研究する。若い人には分からないかもしれませんがビデオのテープが擦り切れるほど見る、あの感覚ですね。あとは視野を広げるためにも、実際に色々な経験や体験をどんどんしてもらいたいですね。今はパソコンやYouTubeでなんでも調べられますが、勇気を出して海外に行ってみるのも良いと思いますよ。

インターネットを通して世界中の情報にすぐにアクセスはできる世の中になりました。でも和太鼓の成り立ちとしては民族的で土着のものなので、現地に行って実際に見て感じて見るのが一番ですよね!
坂本さんにとって和太鼓とは!?

坂本さんにとって和太鼓はどのような楽器でしょうか?

和太鼓って重いし、運びづらいし、置き場所ないし、音出せるところないし・・・でもそれがないと、あの会場全体を振動させて楽器化してしまうような凄い音はきっと出ないんですよね。最近は軽量化も進んでいますが、僕は音の芯が出るようにわりと重いのを使っています。特に大太鼓は「もう、すみません、叩かせていただきます」って感じ。
その点、担ぎ桶はサイズが小さいので、お友達に近い感じで接する事が出来るので好きなんです。人間関係と同じで、等身大の自分でちゃんと接すると良い音で応えてくれますよ。

個性が叫ばれるご時世ではありますが、太鼓打ちとしての個性についてはどう思いますか?

そこは自分も悩むところですが、少なくともフレージングを工夫しただけでは個性は見えてきづらいんじゃないですかね?先日も久しぶりにバチを削ったり、台を作ったりしてたのですが、そういう作業をすると、細かいところに色々とこだわりが出てくるんですよね。道具も衣装も、もちろんリズムも全て、そういう小さな小さな自分だけのこだわりポイントを沢山増やしていく事が、結果として大きな個性になっていくんじゃないかと思っています。

坂本さんのソロはメロディアスでキャッチーで真似されることも多いと思うんですがソロの作り方はどのようにされていますか?ぶっちゃけノウハウとかあるんですか?

詳しくはワークショップで・・・と言いたいところですが(笑)
まず悩んで悩んで悩んで悩んで、ピョコッと出てきたアイディアなどを大切にしてみるといいのではないでしょうか。
序破急だったり、起承転結など基本的なセオリーはありますが、それより意外とみんな自分の音を聞いていないんじゃないかな?稽古などでは「せーの」でみんなで打つことも多いでしょうし。
僕の思う上手な人達をよく観察してみると、すごくシンプルなフレーズしか使っていなかったりします。多分、音色の数やタッチが違うのかな。
僕の場合は
①タイトなド真ん中の音
②真ん中から少し外した伸びがあるいわゆる「良い音」が出るところ
③縁に近い高音成分多めの音
と3種類でざっくりと分けています。
音符だけで考えると面白いソロはできないと思うので。いろんな位置を叩いてみて「音」にインスピレーションを得るのはいかがでしょうか?縁を打つだけでも「カッ」だけでなくバチ先で打てば「キッ」という音や、手元に近い部分で打てば「コッ」など様々な音が出ます。打点も5mm違えば全然違う音が出せるので面には無限の可能性があります。
・・・宇宙やな。

宇宙ですねっ!!!
せっかくなので技術的な質問してもいいですか? 一般的な質問ではないですが、太鼓打ちに向けたメディアなのでいいかなと(笑)
バチは立てて打つ派ですか?寝かせて打つ派ですか?

基本的には立てて打ちますね。しならせ過ぎると打面を擦るような軌道を描いてしまいます。バチは立てて、重さを太鼓にしっかりと伝えるように打ちます。バチを寝かせて打つとリム気味になり派手な音はするのですが、上手に使わないと痛い音になりがちなので、僕はアクセント的に使っています。やはり立てて打った方が綺麗な音はすると思っていますが、使い分けられると良いですね。

これ文章じゃ伝わらないですね。(笑)バチの角度とか写真とか動画付きで記事にしたいです。

SYNCHROについて

坂本雅幸×堀つばさ 和太鼓デュオコンサート「synchro」についてなのですが、まずチラシが尋常じゃないくらいオシャレですね。和太鼓の公演とは思えない・・・。タイトル「シンクロ」はどのような意味合いなのでしょうか?

最初はアニマ・アニムス(Animanimus)という哲学的なテーマを考えていたりしたのですがなかなかイメージ通りにいかなくて。ベルギーでのリハーサルを終えた帰りの飛行機でつばささんと僕との個性が交錯し合うということからシンクロというテーマを思いつきました。

(アニマーニムス・・・???)
※アニマ・アニムス 心理学用語 心理学者ユングが、男性の中にある女性像をAnima、反対に女性にある男性像をAnimusと呼んだ。それをくっつけて1単語(=Animanimus)にしたもの。
共演される太鼓奏者の堀つばささんは坂本さんから見て、どのようなプレーヤーさんでしょうか?

怖いです・・・(笑)
鼓童に在籍していた時の先輩でもあり、自分にはないものを持ってる方ですね。

個性のぶつかり合いが昇華されてシンクロするイメージなんでしょうか。坂本雅幸×堀つばさ 和太鼓デュオコンサート「synchro」の見所について教えてください。

「二人だけでやる」ということですね。
演奏者の人数を増やすという案もあったのですが、何かが薄まってしまうような気がしたので覚悟をきめました。でもそのくらい追い込まないとありきたりなものしか出来ないかもしれないという思いもあり、チャレンジさせてもらってます。ベルギーで何度もリハを重ねて濃い内容になってきていると思いますよ!
堀つばささんという圧倒的な個性は特に女性の太鼓奏者にとっては参考になるんじゃないですかね?大太鼓も二人共打つんですが、シンプルだからこそ見えるものがあると思います。

坂本さん今日はありがとうございました。まだまだ聞きたいことが沢山あります。

なんでも聞いてくれい(笑)
担ぎ桶だったらステージング・体の使い方・目立つ方法などなど・・・

第二弾でぜひお願いします! あの・・・恐縮なのですが、最後に読者プレゼントでサイン色紙お願いできますか?



わーい!ありがとうございます!ということで坂本雅幸さんのサイン色紙とサイン入りチラシを1名の方にプレゼントします。応募は氏名と住所を明記のの上、info@taiko.pressまで!
三浦 後日記・・・・
インタビュー中もとにかく爽やかな坂本さんでした。都内で待ち合わせしてたのですが、坂本さんのオーラが凄くて遠目からでもすぐに分かりました!第2弾は写真と動画付きでもっとディープな和太鼓談義したいですね。坂本雅幸×堀つばさ 和太鼓デュオコンサート「synchro」がますます楽しみになりました。

坂本雅幸、堀つばさ 和太鼓デュオコンサート synchro
東京・京都・三重公演
スケジュールはこちらからご確認ください。
https://www.masayukisakamoto.com/schedule-1
ご予約はこちらから!
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2897500001-P0030001P021001
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